紅葉のライトアップだけじゃない!?「北方文化博物館」副館長インタビュー


ライターの廣瀬です。

さて、今回のレポートですが、紅葉シーズン真っ只中という事で、「北方文化博物館」にお邪魔してきました。庭を散策しながら案内していただいたのは、副館長の佐藤隆男さんです。


廣瀬
こちらの庭園について教えてください。

佐藤さん
まずこれが鶴島です。石橋が鶴の羽。マツが尻尾。前の岩が頭。だから広間から見ると、鶴が飛んでいるように見えるんです。日本の慶兆事には鶴亀が多いでしょ?だからここには亀もいます。滝の右側にある岩が頭で、その後ろの苔が生えた山が背中です。鶴亀の要素がある日本庭園は多いですよ。
廣瀬
そうなんですね!初めて知りました。

佐藤さん
それからこれは名石中の名石「海老ヶ折石(えびがおりいし)」。昔、鹿瀬地区の奥に名石が採れる場所があって、当時そこから運んできたんですけど、今はその場所がダムになっているのでもう絶対に採れません。石に詳しい人は見ただけでわかりますよ。結構映画のロケ地としてもこの場所は使われていて、織田裕二さんの「椿三十郎」とか、この間は「峠 最後のサムライ」の撮影が行われました。
廣瀬
すごい、、、知る人ぞ知るスポットというわけですね。

佐藤さん
ちなみに紅葉する植物に「カエデ」がありますけど、カエデは「カエルの手」って意味なんですよ。カエルの手が訛ってカエデになったんです。そう思うと、カエルの手にも見えてきますよね。
廣瀬
へぇ~!確かに見えてきました。

佐藤さん
一部のイチョウがいい状態ですけど、あったかいと紅葉しないんです。寒くなると一気に色づいて、「冬ごもりのために葉っぱを散らそう」と木が思うわけですね。だから今年は若干遅いかな。でも順番に紅葉していきますので、同じ種類でも木によって色づきに差があります。一気に色が変わって、一気に散ってしまっても面白くないじゃないですか。木にもゆっくり紅葉を楽しんでもらいたいという気持ちがあるんじゃないでしょうか(笑)。

佐藤さん
ここには10種類以上のサクラが100本くらいあるんですけど、それも順番に咲いていきます。春はサクラ、その次はフジ。フジの見頃は10日間くらいですけど、その10日間のために1年間蓄えて咲くわけですよ。本当に花の命は短くて、だからこそ秘めた美しさがありますよね。そういう意味でも樹木は楽しめます。
廣瀬
季節の移り変わりを楽しめますね。
佐藤さん
庭師がレイアウトや樹木の種類を考えながら造っていますから、お茶もそうですがみんな奥が深いんです。うちの一番のベテラン庭師にもなると、14歳の時から75年くらい勤めています。現役ですよ。たまに餅をついたりもしますね。

廣瀬
お元気ですね(笑)。茶室はいくつくらいあるんですか?
佐藤さん
敷地内に茶室は10個あります。1つの施設に10個も茶室があるのは全国でもここだけなので、茶室数日本一なんです。その中には三角形の茶室「三楽亭」がありますけど、それも日本に1つしかないので日本一ですよね。あと、主屋棟の南廊下にある16間半の丸桁(30mの横木)。それは細くて長くて日本一なので、ここは日本一の要素がたくさんある場所なんです。
廣瀬
へぇ~、、、(びっくりエピソードが次々出てくるな、、、)

佐藤さん
この庭は大広間から眺めるように造られていますけど、反対側から見ても決して悪くない。表と裏のような関係でしょうかね。見る角度や四季折々によって違いますから、寒いですけど冬は冬で綺麗なんですよ。雨上がりも緑が映えますね。庭というものは昨日今日でできるものじゃなく、やっぱり歴史があって初めて庭になると思います。それを何も考えずに、縁側でぼーっとしているだけでもすごくいいものですよ。
廣瀬
最高ですよね。

佐藤さん
ライトアップするとまた感じが変わりますからいいですよね。元々は準備を専門家に任せていたんですけど、結局我々もノウハウを覚えてしまったので、今では自分たちで機材を揃えて行っています。だからライトアップ以外にも、コンサートや落語などのいろんなイベントをここで開催していますよ。
廣瀬
雰囲気があって良さそうですね。この庭を見たお客さんの反応はどうですか?
佐藤さん
昼夜問わずですけど、入口からこの開けた庭が見えた瞬間、まず「わぁ~!」っていう声が出ますよね。それだけ皆さんが普段見慣れていない景色なんだろうなと思います。視界をよくするために、縁側にあった柱は全て切ってあるんですけど、日本庭園というのは座して見るんです。つまり座った目線で見ることで、建物が額縁になってしまう。それが一番いい庭の見え方なんですね。

佐藤さん
「心のご馳走を求めて、どうぞおいでください」と私はよく言います。わりと人間は口に入るものにはお金を使うけど、目に入るものにはお金を使わないんです。口に入れなきゃ生きていけないけど、目に入れなくても生きていけますから。でも精神的なものは長生きにも繋がりますし、自然を見て心を癒すことは大事だと思います。心のご馳走を取り入れることで、本当の健全・健康な身体になっていくんです。

佐藤さん
ビルの真ん中だけで生活していても、なんとなく空気が堅い感じでしょ?全然違いますよ。だから私は毎日本当にいい場所にいるなと感じますし、市街地の方へはあまり行かないんです(笑)。
廣瀬
それはすごくよくわかります。ちなみにこの庭以外もライトアップされるんですか?

佐藤さん
はい。動線という意味でも、藤棚がある方もライトアップされます。あと、最初の石門から正門入口までのアプローチは両側に明かりを点けます。そこにある大きなマツも照らすんですけど、それがまずなかなかの感動です。その前庭を見てから大広間の庭を見ると、自然と座りたくなりますよ。落ち着くんだと思います。

歴史ある建物や季節ごとに楽しめる庭園以外にも、実はパワースポットとして研究者の間では注目を集めている北方文化博物館。
「ゼロ磁場」と呼ばれる、N極とS極のエネルギーがぶつかり合っている場所でもあり、特に中庭の御影石からは不思議な「気」が発生しているんだとか。その影響もあってか、佐藤さんをはじめとするスタッフの皆さんは病気知らずなんだそう。

信じるか信じないかはあなた次第です!

INFORMATION

北方文化博物館 紅葉ライトアップ – 秋紅夜 –
期間 : 公式サイトをご確認ください。
会場 : 北方文化博物館
HP : http://hoppou-bunka.com

ACCESS