「生誕100年記念 日本画家・横山操展 – その画業と知られざる顔 -」レポート
こんにちは、金子です。
現在、新潟市新津美術館では「生誕100年記念 日本画家・横山操展 – その画業と知られざる顔 -」が開催されています。
会場に入る前に、まずは新潟市新津美術館学芸員の奥村さんにみどころを伺いました。
日本画というと少し敷居の高いイメージがあったのですが、「日本画壇の風雲児」「知られざる一面」という言葉に期待が高まります。
ということで、まずは第1会場へ。
※通常は撮影禁止ですが、今回は特別に撮影させていただきました。
横山操は、新潟県燕市(旧吉田町)出身の日本画家。14歳で上京して洋画家を志すも、その後日本画へ転向。20歳で川端龍子が主宰する日本画団体・青龍社に作品を出品。その後召集され、捕虜生活を経て帰国する頃には30歳に。再び青龍社に所属し、意欲的で大胆かつ豪放な大作の作品を発表。青龍社で受賞を重ね社人となった後に脱退。晩年は病に倒れますが、左手で筆をとり叙情溢れる色彩豊かな作品や水墨画など意欲に満ちた作品を発表し続けました。
第1章では、これまで公開されることの少なかった戦前期の作品が紹介されています。ポスターのようなデザイン画もありました。版下の作成やポスター制作を手伝っていたという背景を感じさせます。
人物画を描かなかったとされていたため、人物が描かれている作品は貴重なんだそう。洋画のような雰囲気に日本画ということを忘れてしまいます。
第12回青龍展入選作の「渡船場」。この頃から、人の生活を感じさせる建造物をユニークな視点で描くことが多くなってきました。会場では試行錯誤の跡があるスケッチも観ることができます。
第2章では、戦後、抑留生活を経て復員した横山が、空白の10年間を取り戻すかのように、精力的に制作に打ち込んだ青龍社時代の作品が展示されています。
こちらは差し色が印象的な「送電源」。1960年の作品ですが新しさを感じさせます。この時代は、大胆で豪放な画風の大作が多い印象を受けました。
続いて第2会場へ。
第3章では、大作を発表する場でもあった青龍社を脱退し、無所属で活動した頃の作品が展示されています。
こちらは故郷、新潟の風景が描かれた作品。黄金に実る稲穂やはさ木などが観られます。
初期の力強い絵と異なり、郷愁の感情が表れているような優しい風合いを感じる作品が多くなってきました。
こちらはノートルダム大聖堂を描いた「遠きノートルダム」。正面ではなく背面からとユニークな視点で描かれています。
最後は、代表作「赤富士」の制作過程。横山の富士の絵は高度経済成長期の力強い日本の象徴として多くの人を魅了しました。1枚ずつ描いていくのではなく、同時にいくつか作っておき、乾いたものから色を塗り重ねて完成させていったと考えられるようです。
今回私は2月14(日)まで行われていた前期に行ってきましたが、2月16日(火)から始まった後期では、ご紹介した作品の他、新潟では約20年ぶりに展示される「塔」などの大作も鑑賞できます。ぜひ貴重な作品の数々をお楽しみください。
INFORMATION
生誕100年記念日本画家・横山操展 -その画業と知られざる顔-
開催日 : 2021年1月23日(土)~3月21日(日)※会期中に一部作品の展示替えあり
時間 : 午前10時~午後5時(観覧券販売は午後4時30分まで)
休館日 : 月曜日(ただし2月22日、3月15日は開館)
会場 : 新潟市新津美術館
料金 : 当日券一般1,000円大学・高校生500円中学生以下無料※有料20名以上は団体料金で2割引※新潟県立植物園および新潟市新津鉄道資料館の入館券を持参の方は2割引※障がい者手帳・療育手帳をお持ちの方は無料(手帳をご提示ください)※2度目はオトク!リピーター割引(半券の提示で、2度目の日本画家・横山操展が2割引でご覧いただけます)
HP : http://www.city.niigata.lg.jp/nam/
ACCESS MAP
投稿者プロフィール
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SHIKAMOのレポーター&ライター。
旅行、寺社仏閣、祭り、伝統文化をこよなく愛する。夢は狐の嫁入り行列で花嫁役になること。
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