「第34回 国民文化祭・にいがた2019、第19回 全国障害者芸術・文化祭にいがた大会」関連インタビュー「日本舞踊」編


9月15日(日)~11月30日(土)の期間、「第34回 国民文化祭・にいがた2019、第19回 全国障害者芸術・文化祭にいがた大会」が開催されます。国内最大の文化の祭典ということで、期間中は多くのイベントが予定されています。

SHIKAMOでは、その期間中に開催される様々なイベントの中から2つのイベントをピックアップして、それぞれの代表者にインタビューを行いました。

まず、お一人目は、11月10日(日)に新潟県民会館で行われる「日本舞踊の祭典」について

日本舞踊の祭典

公益社団法人日本舞踊協会新潟県支部 支部長(日本舞踊市山流 7代目宗家)市山七十郎(なそろう)さんにお聞きしました。


今回のイベント内容を教えてください。

「日本舞踊の祭典」ということで全国の団体へご案内を出させていただきまして、今回は県外9か所の日本舞踊の皆様が参加してくださいます。通常の会でしたら開催地域の団体だけとか、1つの流派だけで会をやるのがほとんどですが、この国民文化祭というのは全国規模の催しなので、普段は見ることのできない色々な流派の方々が一堂に集まる貴重な機会です。
 国民文化祭は毎年開催地が変わり、今までの日本舞踊の祭典ではその土地の伝説などを題材にした創作舞踊が発表されています。私たち新潟は、新潟港開港150年を迎え、200年以上続く古町芸妓がいますので、皆様には、お座敷気分を味わっていただきたいと思います。最後に子どもたちによる新潟の童謡「砂山」と、芸妓たちの踊りを楽しんでいただきます。

正直なところ、日舞に馴染みのない人がほとんどだと思うのですが、素人でも楽しめるポイントはありますか?

そうなんですよね。まず難しいんじゃないかとか、言葉がわからないとか思われると思うんですけど、私が最初に言うのは「とにかく足を運んでみてください」ということです。それで「あ、衣装が綺麗だな」と感じてもらうだけでもいいんですよ。日本舞踊や歌舞伎にしかない衣装の美しさとか可愛らしさを見てもらいたいですね。
 はじめから「見てもよくわかんないし」という感覚ではなくて、「着物ってどうなってるんだろう?」と思ってくれるだけでもいいかなと。

確かに今は着物を目にすること自体が珍しいですよね。

いや、でも最近は結構着てる人もいますよ。浅草なんかに行ってごらんなさい。半分くらいが着物ですよ。今は貸して着させてくれるお店もたくさんありますし、着物を着てる外国の方もびっくりするくらい多いです。まあ古町には少ないですけど、それでもお茶とお菓子をいただきながら芸妓さんの踊りを見たり、一緒に写真を撮ってみたりできるイベントを色々行っているので、そういう場には海外からの団体さんもいらっしゃってるみたいですね。この間のG20でも、花柳界が踊りを披露して皆さんに喜んでいただけたようです。

代々受け継いできた歴史のある稽古場。


市山流の特徴を教えてください。

元々は大阪の歌舞伎役者が創始者で、3代目までが歌舞伎役者でした。役者の中でも踊りが上手かったので、振付け師という立場にいました。なので市山流の一番の特徴は歌舞伎舞踊。歌舞伎舞踊というのは、ストーリー性があるものが多いんです。
 例えば「仮名手本忠臣蔵」という本来すごく長いお芝居がありますが、その中でも見ている人たちに少し休んでもらいましょう、というところが舞踊のくだりです。それと先の9月8日にりゅーとぴあである「ふるまち新潟をどり」では、「橋弁慶」といって牛若丸と弁慶が五条の橋で出会って立会い、弁慶が負けて牛若丸の家来になるお話を踊りにしたもので立ち回りが多いものです。踊りなんだけども、お芝居もしなくてはいけないものが多いですね。

踊りの中にお芝居の要素が入ってるんですね!

そうです。あと、特徴を聞かれた時によく答えているのが、ニュアンスは違うんですけど一般の方にわかりやすく言うと、関西の漫才と東京の漫才です。同じ漫才でもなんとなく感覚の違いがあるのはわかりますよね?踊りにも関西と東京で感覚の違いがあって。例えば1分間に、東京の踊りは10個の振りが入るとします。そうすると関西の場合は、そこに15個の振りを入れるんです。そういう違いも市山流と他の流派にはありますね。だからこそ今回の国民文化祭では、色々な土地の踊りの違いも楽しんでいただけると思います。


最後に読者へメッセージをお願いします。

昔のお芝居の衣装などは、今では考えられないくらいの奇抜な色使いや色の組み合わせをしていて私たちでも驚きます。それに日舞は総合芸術なので踊り手だけがいてもダメなわけです。踊りに対して三味線と歌と太鼓などの伴奏があって、大道具や照明があってひとつの舞台が出来上がるのです。そういう踊り以外の面を目的に足を運んでもらって、その結果日舞を見てもらえるということでも嬉しいです。それから今回は東京からプロの地方(じかた)(三味線・歌・鳴り物)の方々が来てくださいます。踊りの解説はプログラムに載せますが、解説にとらわれず、その人その人の感覚で感想を持ってもらえると、私たちも意外な発見があって勉強になるんです。とにかく1回見に来てください(笑)。

次回は「国民文化祭にいがた2019茶会」について、同イベント代表、新潟県茶道連盟理事長「中野宗順」さんのインタビューを掲載します。お楽しみに。

INFORMATION

日本舞踊の祭典
日程 : 2019年11月10日(日)
時間 : 11:00~17:00
会場 : 新潟県民会館 大ホール
料金 : 全席自由 4,000円
HP : https://niigata-futtotsu.jp/event/2549/

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