「白根大凧合戦」の由来を知ったら急に興味が湧いてきたので、凧職人に話を聞いてきた


こんにちは。廣瀬です。

南区の一大イベント「白根大凧合戦」が、6月7日(木)~11日(月)に開催されます。

改めてこのイベントについて色々調べていたところ、以下のような説明を見つけました。

白根大凧合戦の由来

江戸時代の中頃、中ノ口川の堤防改修工事の完成祝いに、白根側の人が凧を揚げたところ、対岸の西白根側に凧が落ち、田畑を荒らしたことに腹を立てた西白根側の人が、対抗して凧を白根側にたたきつけたことが、起源と伝えられています。このため、凧が相手側に向かって揚がる様に工夫して作ってあり、先人の技術に更に改良を加え現在に至っています。
各組それぞれに特色があり、揚がり方や、掛け方に違いがありますが、組の伝統を守り、技術に改良を加え、一枚でも多く合戦することを目的に、凧を作り、揚げています。(「新潟市南区観光協会 – 白根大凧合戦」より)

知らなかった。

生まれも育ちも五泉市の僕ですら、子どもの頃から知っている白根の大凧ですが、正直なところこのイベントに関しては「白根の人たちが街を挙げて大きな凧を揚げてる」程度にしか思っていませんでした。凧同士を絡めて綱を引き合うことを目的としていたんですね!

そういうことなら、白根側の人(東軍)と西白根側の人(西軍)に今年の意気込みを聞くしかないっしょ!

ということで、インタビューを企画しました。


まずは

こちらが今回、白根側の代表としてインタビューを引き受けてくださった、本新蝶組(ほんしんちょうぐみ)の和田さん。普段は建設会社に勤務されています。
※本新蝶組の凧が保管してある「白根児童センター」にお邪魔しました。


廣瀬
本日は、お時間をいただきありがとうございます。早速ですが、和田さんは本新蝶組にいつ頃から所属しているんですか?
和田さん
中学1年からですね。
廣瀬
あ、そんな早くからなんですね。
和田さん
そうですね。各町内に子ども会があるんですけど、大凧合戦の前日に子ども会が参加する子どもだけの凧合戦があるので、凧は小学校の時から関わってますね。
廣瀬
そういえば僕も小学校4年生の時に、職人さんが学校に来て、クラスで1枚大凧を作ったことを思い出しました。そういう風に他の地域から呼ばれて行くことって多いんですか?
和田さん
あんまり多くはないですけど、震災後に宮城の石巻に行ったり、東京の葛飾にも揚げに行ったことはあります。凧組としては少ないですけど、凧合戦協会としては色々タイアップもされてるみたいですね。
廣瀬
和田さんは代表になってどのくらいですか?
和田さん
今年で6年目ですね。
廣瀬
代表にはどうやってなったんですか?推薦とかですか?
和田さん
前の会長がそろそろ交代という時に指名された形ですね。

廣瀬
そうなんですね。指名されるのは嬉しいものですか?それともプレッシャーとか。
和田さん
プレッシャーですね(笑)。うちは5、60人いる組織なんで、やっぱり責任重大じゃないですか。
廣瀬
ですよね(笑)。ちなみに組にはどういった人たちがいるんですか?
和田さん
下は保育園児や小学生もいますけど、主に揚げるのは中学生から大人で、上は70代もいます。
廣瀬
幅広いんですね。女性もいるんですか?
和田さん
女性もいます。

廣瀬
今年の凧は全て作り終えた聞きましたが、制作期間はどのくらいかかったんですか?
和田さん
昨年の11月に「紙貼り」という作業をして、角田山へ行って竹取り作業もしました。それで年が明けて3月の第1日曜日からほぼ毎週作業をしてきましたね。
廣瀬
制作は大人がやるんですか?
和田さん
大人がやるんですけど、うちは中学生や高校生がいるので、仕事も振って覚えさせてるつもりです。どこの組も30代くらいが主体になっていると思いますが、どこも後継者を増やすために、仕事を早い段階から覚えさせてるんじゃないでしょうかね。
廣瀬
なるほど。今年は全部で何枚あるんですか?
和田さん
26枚です。毎年25、6枚作ってますけど、少ない方だと思いますよ。30枚くらい作る組もありますから。
廣瀬
それを1日均等に揚げるんですか?
和田さん
最終日が雨だと揚げられなくなるので、うちでは毎年4日間で全部揚げ切る予定にしています。
廣瀬
余っても仕方ないですもんね。
和田さん
余ったら壊すだけなんで(笑)。でも本当に揚げ切ってしまうと足りなくなってしまうので、急遽白い紙を貼っただけの凧を作って最終日に揚げることもありますよ。
廣瀬
本新蝶組の凧に特徴ってあるんですか?
和田さん
うちの凧は「蝶」なので、相当鮮やかな色合いだと思っています。まあ、染物に使う粉の染料をお湯で溶かして描いているので、元々の色が綺麗なんですけどね。

特別に少しだけ今年の凧を見せていただきました。

ちなみに今年のポスターに使われているのも本新蝶組の凧。

ポスターに使われる凧は、東軍と西軍を合わせた全13組が持ち回りにしているとのことで、13年に1度の貴重なタイミング。

廣瀬
特に今年の見どころはありますか?
和田さん
今年は子どもの誕生をお祝いをする凧が多かったんです。毎年自分が子どもの名前を聞いて、凧に書いているんですけど、数が多かったので気合いを入れて書きました。
廣瀬
へぇ~。では凧の絵に注目ということですね!対戦相手はどうやって決まるんですか?
和田さん
東軍から先に揚げるので、こっちの準備ができたら西軍の方を確認して、準備ができていそうな組に大声で聞くんです。それで西軍から返事が来るので、良ければ揚げます。
廣瀬
その場で決めてるんですね!事前に組み合わせが決まってるのかと思ってました。ちなみに昨年は西軍の弁慶組が優勝されましたが、東軍としての意気込みを教えてください。
和田さん
去年は1敗してるんですけど、綱はまだ強いと思うので、町内の名誉にかけてもぜひ優勝したいですね。
廣瀬
その1敗は弁慶組ですか?
和田さん
いや、それはまた別の組で、弁慶とは1回も戦ってなかったかな。去年は5回引っかかって、2勝1敗2引き分けですかね。
廣瀬
勝負がつかないことも多いんですね。

和田さん
そうですね。北風が吹かないとその日の合戦は無しになってしまうし、例えば川に対して直角の西風が吹くと凧同士が絡まないので、ただ揚げるだけになってしまいます。あと平日は土日よりも人が少ないので、強い綱同士は引き分けになることが多いですね。
廣瀬
組の皆さんは会社を休んで平日参加しているんですか?
和田さん
午前中だけ出社している人もいますけど、1日休んでる人が多いですね。
廣瀬
凧合戦の時期は街全体がそういう雰囲気になるってことですか?
和田さん
休んでる人は会社に相当無理を言ってるんでしょうけどね。その分普段はまじめに仕事を頑張っているんだと思います(笑)。
廣瀬
最後に、西軍の人と今でも仲が悪いわけではないですよね?
和田さん
全然仲いいですよ(笑)。いざ合戦になると怒鳴り合ったりしますけど、私生活では同級生や同僚もいるんで普通の友達です。

和田さんの法被を特別に着させていただき、一瞬だけ男気が上がったような気がしました。


続いて

西白根側の代表としてインタビューを引き受けてくださったのは、達摩組(だるまぐみ)の堤さん。普段は会社員で、偶然にも本新蝶組の和田さんとは同級生だそうです。
※達摩組の凧が保管してある「味方地区千日運動施設」にお邪魔しました。

廣瀬
お時間をいただきありがとうございます。堤さんは達摩組にいつ頃から所属しているんですか?
堤さん
13歳の時からなので、今年で24年目になりますかね。
廣瀬
和田さんも中学からと言っていたんですけど、やっぱり皆さんそのくらいから所属されるんですね。
堤さん
そうですね。当時は中学校に入学すると大凧を揚げるという流れがあったので、組にも参加しましたね。

廣瀬
組の代表になったのはいつですか?
堤さん
代表は今年からなんですよ。達摩組には3人代表がいるんですけど、毎年1人ずつ入れ替わっていくんです。
廣瀬
達摩組も代表は推薦で決まるんですか?
堤さん
まあ、そうですね。前の役員から「次やってください」と言われる形です。
廣瀬
声をかけてもらった時はどんな気持ちでした?
堤さん
実は今回で2回目なんですけど、組員の人数が少なくなってきているという現状もあったんですよ。それで次が続いていかないということもあって、引き受けた次第ですね。
廣瀬
達摩組は何人くらいいるんですか?
堤さん
常に参加できる人となると20人くらいですかね。30代~40代前半がメインで、女性もいます。

廣瀬
達摩組はまだ凧を制作中とのことですが、何枚制作予定ですか?※5/25時点
堤さん
今年は24枚作ろうと思っていて、ほぼほぼ完成してはいるんですけど、あと21枚仕上げます。
廣瀬
いつ頃から作り始めたんですか?
堤さん
今年は3月上旬から絵描きを始めて、本格的に竹の部分をいじり始めたのが4月上旬からでしたね。
廣瀬
凧に特徴はありますか?
堤さん
西の他の組の凧は、大体が揚がったら川の方へ出て行くんですけど、うちの組の凧は土手の上を真っ直ぐ揚がっていく感じなんですよ。そして揚がりきってから、段々と大きな弧を描くような動きをしていくという特徴がありますね。
廣瀬
なるほど。今回のインタビューを企画するにあたって、改めて凧合戦について調べたんですけど、西軍の凧があえて東軍の凧に絡まりに行っていることを初めて知ったんです(笑)。それって凧の構造がそういう風になってるってことなんですか?
堤さん
なってますね(笑)。東側は低く飛ぶように作ってるでしょうし、西側は上から覆いかぶさるようになってます。
廣瀬
そうだったんですね!全然知らなかった、、、。
堤さん
さっきの話に戻りますけど、うちの凧は骨がやたら重いです。

廣瀬
へぇ~。重いことによってどういう効果があるんですか?
堤さん
縦骨がしっかりしているので、風に負けないで鼻緒(凧をコントロールする綱)が全部効いた時にいい動きをします。あと、他の組は凧を丸めて運ぶんですけど、うちの凧は丸めることができないので、そのままの状態で持って行きますね。
廣瀬
そうなんですね!会場に丸められた凧が置いてあるのを見たことがありますけど、達摩組は例外ということですか。
堤さん
唯一、パレードに出すために1枚だけ丸められるものは作ってますけど、それ以外は丸めようものなら全部折れます(笑)。
廣瀬
当日は市外からもたくさんの人が見に来ますが、ツウの楽しみ方ってあるんですか?
堤さん
凧同士が絡まると綱を引っ張り合うんですけど、その時に我々としては誰でもいいので一緒に引っ張ってもらいたいんですよ。地元の人は手伝ってくれるんですけど、観光で来られた人となるとなかなか触りづらいこともあってか、参加者してくれる人が少ないと思いますね。
廣瀬
なるほど。それって会場でアナウンスされてましたっけ?
堤さん
アナウンスではないんですけど、周囲に声をかけながら引き合いの準備をします。
廣瀬
じゃあ、ずっと同じ位置で凧を見続けている人は、引き合いの呼びかけに意外に気づかないかもしれないですね。
堤さん
そうですね。実際に一般の人が綱をつかめるタイミングってそこだけだと思うので、より合戦を楽しめるんじゃないですかね。
廣瀬
昨年は西軍の弁慶組が優勝されましたが、組が違っても同じ西軍として嬉しいものですか?

堤さん
いや、そこは全く関係ないですね(笑)。2位以下は全部一緒なんで、東と西で分かれてますけど、これは組同士の戦いです。
廣瀬
そうなんですね(笑)。優勝すると優勝旗がもらえるそうですが、他に副賞とかあるんですか?
堤さん
カップや金一封がもらえます。
廣瀬
では今年の意気込みを教えてください。
堤さん
綱が古くなってきているんですけど、とにかく全ての達摩を揚げて見せることが目標ですかね。
廣瀬
え、綱って同じものを使い続けてるんですか?
堤さん
そうですね。どこもおおよそ5年周期で変わるんですけど、うちは今年で6年目なんですよ。だからそろそろかなと思うんですけど、まだそこまで切れているわけでもないんで、新しく作る話も出していないですね。
廣瀬
骨組みの竹は使い捨てですか?
堤さん
いや、竹も残ったものは一旦来年用に洗って保管してます。1年後にもろくなっていたら破棄しますけどね。
廣瀬
なるほど。あと、壁に随分と年季の入った歌詞が貼られてますけど、あれは凧合戦の歌ですか?
堤さん
あれは「白根凧音頭」です。たまに打ち上げの時とかに歌ったりするんですけど、歌の冒頭は達摩組だけの歌詞になっているんですよ。

※歌の冒頭に達摩組だけのオリジナルの歌詞が追加されている。

廣瀬
へぇ~、歴史を感じますね。では最後の質問ですが、東軍の人と今でも仲が悪いわけではないですよね?
堤さん
本新蝶の和田さんなんて高校の同級生ですし、そこまでいがみ合うことはないですよ(笑)。むしろ本番で凧を揚げ始めた時とか、凧を壊してしまった時とかは西同士で喧嘩になったりしますよね。
廣瀬
西同士で?
堤さん
西同士で。土手の後ろ側から凧を揚げる時は、前の方にある凧を寝かせてもらわないと揚げられないんですけど、そこを無理に揚げようとして、ぶつかって壊してしまうことが数回ありますね。
廣瀬
そんなこともあるんですね(笑)。
堤さん
ありますね(笑)。それで誰かを怪我させたりすると尚更ですよね。

達摩組の法被も着させていただき、気分はすっかり凧組の一員に。

知ってるようで、実は全然知らないことばかりだった白根大凧合戦。今年から合戦の見方が変わって、これまで以上に楽しめそうです。

お願いだから晴れてくれー!!

白根大凧合戦

INFORMATION

白根大凧合戦
開催期間 : 2018年6月7日(木)~6月11日(月)
営業時間 : 13:00~18:00(7日は14:00頃から、11日は19:30まで)
会場 : 新潟市南区白根・西白根 中ノ口川堤防上 
公式WEB : http://www.shironekankou.jp/tako/index.html